スケールを覚えよう 〜基本のスケール〜

さて今回は実践編突入ということで基本のスケールについて書きます。
<本日のお品書き>
・度数表記について
・まずはこのスケール!
・覚え方のコツ
・○○スケールの使える場所


■度数表記について 〜ローマ数字に慣れよう〜
多くのギタリストから嫌われる度数表記ですが、度数表記を理解すると、、
コードネームからコードの押さえ方や使うスケールが分かるようになります。
またコード進行を「Ⅰ−Ⅱ−Ⅴ」のように覚えることができるので、
基準をCにすれば「C-D-G」、Aにすれば「A-B-E」といくらでも応用がきくようになります。


考え方は簡単です。度数表記は「メジャースケールを基準」に考えます。
Cメジャースケール(C/D/E/F/G/A/B)で考えた場合、
「C(ド)が1番目なのでⅠ(1度)、DはⅡ(2度)、EはⅢ(3度)・・・AはⅥ(6度)、BはⅦ(7度)」
という具合に、「ルートからの距離でその音が何番目か」を表します。
もう一例、次にEマイナースケール(E/F#/G/A/B/C/D)で考えると、
「E(ミ)がⅠ、F#がⅡ、Gが♭Ⅲ・・・Cは♭Ⅵ、Dが♭Ⅶ」となります。
Eマイナースケールを度数表記にするとローマ数字に♭が付いてますよね?
これは度数表記に「メジャースケールを基準に考える」というルールがあるので、
マイナースケールの配列だとメジャースケールと音の違う箇所があるため♭(や#)が付くのです。


メジャーとかマイナーとか突然なんじゃい!の方、お待たせしました。


■まずはこのスケール! 〜メジャーとマイナー〜
スケールは12音(12平均律)の音を組み合わせることでいくらでも作ることができます。
しかし、実際に覚えるスケール数は恐らく20種類もありません。
さらによく登場するのは5〜6種類で、極端な話、2種類覚えれば結構なんとかなります。
その2つというのが、
「メジャー(イオニアン)スケール」と「ナチュラルマイナー(エオリアン)スケール」です。
下表の黄色網掛け箇所をご覧ください。(主要なスケール抜粋してみました。是非ご活用ください)
f:id:korock:20120121221818j:image
勘の良い方はお気づきかもしれませんが、
実は、多くのスケールがこの2種類のスケールから派生しています。
また、ナチュラルマイナーもメジャーのⅢ・Ⅵ・Ⅶを♭しただけなので、
メジャー、つまりドレミファ〜の構造(音と音の距離(※))を知っていれば、
理論上、どんなスケールでも生み出せることになります。
(※メジャーの音の距離「全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音」も覚えよう!)


■覚え方のコツ 〜たくさんあるようで実は少ない〜
覚え方はもう上でほとんど書いちゃいました。
つまり、大元のスケールさえ覚えれば、多くのスケールがそこから派生したものなので、
メジャーからⅣだけ#する、マイナーからⅦだけ♭する、みたいに関連で覚えると楽に覚えられます。
しかもギターやベースではスタートする位置(ルート)を変えるだけで、
スケールポジションは同じままで転調(例:CメジャーからEメジャーに)できます。最高!


■○○スケールの使える場所
これは厳密に解説すると難しくなりますので、今回は大枠の原則だけ書きますと、
「メジャー系のコードにはメジャースケール、マイナー系のコードにはマイナースケールが合う」
でなんとかなります。(調が複雑に変わる曲ではなんとかならない場合もあります)
ただし、例外的に、メジャーコードなのにマイナーなスケールを使った方が良い場合もあります。
これは後日、JazzとBluesの違いの回で。


■おわりに
慣れるまでは難しく感じるかもしれませんが、
ギターや鍵盤を実際に弾いて試していくうちに少しずつ理解できると思います。
今回の内容を理解すると、例えばコードを作る際に、
「C△7(CM7)はⅠ/Ⅲ/Ⅴ/Ⅶの組み合わせだから、C/E/G/Bの音を使う(押さえる)」
「Cm7はⅠ/♭Ⅲ/Ⅴ/♭Ⅶの組み合わせだから、C/E♭/G/B♭の音を使う(押さえる)」
と分かるようになります。(コードの仕組みを知るとより明確になります)
次回は、今回少し触れたコードの仕組み、スケールの続き(表で埋まってない箇所)を書きます。


■度数表記の補足
メジャースケールで1度、2度と書いていますが、正しくは以下のように呼びます。
「完全1度/長2度/長3度/完全4度/完全5度/長6度/長7度」
更に、12音全てを含めると以下のようになります。
「完全1度/短2度/長2度/短3度/長3度/完全4度/増4度(減5度)/完全5度/短6度/長6度/短7度/長7度」

スケールを覚えよう 〜最初の一歩〜

友人からリクエストを受けたので通常の音楽理論も解説することにしました。
ただ、基本は前回お勧めした本やWEBに載っているので、
主にギタリスト視点で、理論を会得するコツみたいなのを中心に書いていこうと思います。
(なので解説順も通常のソレとは違います)


さて、ギタリストの悩みと言えばやはり「スケール」なわけですが、
大事な内容なので、今回は「そもそもスケールとはなんぞや」を簡単に書きます。


■小学校で習う(習いたい)音階の話 【結論は最後の2行】
音は無限(?)にあります。
が、それでは多くの人が音楽をやるには大変だったので、
西洋音楽では「12平均律」という音のルールみたいなものを定めました。
これはピアノで言う「ド(白鍵)から順にド#(黒鍵)・・・ラ#(黒鍵)、シ(白鍵)」までのように、
ある範囲(オクターブ)を均等に12個の音に分割したものです。
12平均律により、この音とこの音の組み合わせは気持ち良い!とか、
こう並べるとカッコイイ!みたいな発見がしやすくなりました。
これにより西洋音楽、もといクラシックやその他色々な音楽が発展することになります。
そして、この12平均律の音を使って、
音の高さの順に並べたものが「音階(スケール)」です。


■じゃあメジャースケールとかマイナースケールってのは?
音の並べ方によって、明るく聞こえた音階をメジャースケール(明るい感じの音階)、
同様にして悲しく聞こえた音階をマイナースケール(悲しい感じの音階)、
という風に呼ぼうと昔の偉い人が発見して決めたのです。


■おわりに
この12平均律とスケールにより、我々は容易に色んな音を奏でることができるようになりました。
もちろん旋律(メロディ)や和音(コード)の発展にも多大な影響を与えています。
ギタリストに煙たがられるスケール、その有難さが少しでも伝わっていれば幸いです。
次回は皆様お待ちかね(?)、スケールの種類の基本編、覚え方のコツ等を書きます。
(次回記事:id:korock:20120121)

Jazzは難しい?その4

今回はいよいよギタリストの魔境、②の取り組み方を書きます。
 ①スタンダード曲をコピーする(常套句を知る、分析・分解する)
 ②音楽理論を勉強する


■はじめに結論
で、ここで魔法の理論習得法でも書ければ良かったのですが、
残念ながら結論はシンプルです。
 ②-1:自分に合う超入門の易しい理論書で勉強する
 ②-2:少し高度で情報量の多い理論書で勉強する
 ②-3:理解したことを①に活用する
 ②-4:作曲や編曲で自分なりに応用してみる


■②-1:自分に合う超入門の易しい理論書で勉強する
まずはここがスタートになります。なお、学び元は本でもWEBでも人でも結構です。
ここをある程度クリアすると、編曲時の同一メロディに対するコード差し替えや、
コードに対するメロディの付け方が分かるようになります。
なお、壁にぶつかったら一旦中段して、色んな所に寄り道してみてください。
再び戻ってくると案外すんなりと理解できることもあります。


②-1で学ぶべきこと(目標)を挙げておきます。
 ・理論はなぜ必要なのか(学ぶメリット、具体的に理論で何ができるか)
 ・コード、スケール、ダイアトニック、モードとは何か
 ・指板上の音名と階名をゆっくりで良いので言えるようにする


お勧めの一冊はこちら。本の名前通り、最後まで読み通せます。

ギター・マガジン 最後まで読み通せる音楽理論の本(CD付き) (Guitar Magazine)

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■②-2:少し高度で情報量の多い理論書で勉強する
恐らく、②-1をクリアできると、自然とこちらに移行すると思います。
なのでお勧め本の紹介だけ。ちなみに②-1と並行で進めてもOKです。

ギターで覚える音楽理論―確信を持ってプレイするために

ギターで覚える音楽理論―確信を持ってプレイするために


■②-3:理解したことを①に活用する
これはできるだけ実施してください。
実際にやってみると素直に理論を適用できない場合が多いかもしれませんが、
この作業により曲や理論に対する理解・納得感が全く違ってきます。
ちなみにJazzに限らず、ポップスやロック曲でやっても色々と発見があって面白いです。


■②-4:作曲や編曲で自分なりに応用してみる
これも可能であればやってみてください。非常に勉強になります。
ただ結構難しいので、後日、簡単な理論を交えながら解説しようと思います。


■おわりに
②-1が肝です。ここで挫折する人が多いとは思いますが、右往左往しながら頑張ってみてください。
ある日、突然霧が晴れたように理解した、なんてことも間々あります。
理論の理解により音楽が何倍も面白くなることを、ゆる〜くお約束します。


①と②の取り組み方についてはひとまず以上です。
★次回以降のラインナップ★
 ・Jazzらしさを生む要素 〜なんちゃってJazz入門〜
 ・JazzとBluseの関係を少しだけ 〜Jazzが弾けたらBluseも弾ける?〜
 ・Jazzを勉強しようと思った理由 〜実は本気Jazzをやりたいわけではない?!〜
 ・理論を作曲編曲に活用しよう入門 〜小手先編〜

Jazzは難しい?その3 <おまけのコラム>

さて、ここまで偉そうに色々と書いておりますが、
私は未だにJazzのアドリブをまともに弾くことができません。
理論の理解によりJazz風な曲を作ることができるようになっても、
アドリブは相当な訓練と経験を積まないと弾けない、と分かりました。


弾けない理由はいくつかありますが、もっとも大きいのは、
ギターだけやってきたギタリストによくある、
「指板上のドレミが瞬時に見えない」です。(ゆっくり見れば分かるのですが・・・)
手の形や弾き方で覚えてしまい、今弾いてる音を正確に意識できていないのです。
またドレミが見えていないのでつい相対音感に頼ってしまい、
アドリブ時に考えずに弾く悪い癖が付いてしまいました。


このため、Jazzのような次々にスケールが変わったり、
随所にアウト感を出すような曲においては手が付いていけず、
まさに手も足も出ない状況です。


なので、偉そうな記事を書きつつ目下の目標は、
「指板上の音を瞬時に音名/階名に置き換える」
「五線譜を見て即座に弾く」です。情けない〜!


そんな私が偉そうに書いている「Jazzは難しい?」シリーズ。
 その1 id:korock:20111217
 その2 id:korock:20111225
 その3 id:korock:20120108

Jazzは難しい?その3

今回は前回の記事で取り上げた以下の①の具体的な取り組み方法を書きます。
 ①スタンダード曲をコピーする(常套句を知る、分析・分解する)
 ②音楽理論を勉強する


■はじめに:どんな曲をコピーするか
以下2つのどちらでも結構です。
ただし、セッションが目的であれば後者をお勧めします。
 ・好きなJazz曲をコピーする
 ・スタンダード本の曲をコピーする
基本、Jazzのフリーセッションはスタンダード曲から、
メンバーが弾けるものを選んでやるので、
事前に曲を知らないとまともにセッションすることが難しくなります。


■で、コピーするだけ?
それだけでも雰囲気は学べますが、Jazzを理解するにはもう一段作業が必要です。
(というか、この作業はどんなジャンルにおいても必要な作業だとは思います)
①の括弧内にも書きましたが、
 ①-1:常套句を知る(多くの曲に登場する似たような進行やフレーズを知る)
 ①-2:分析分解する(なぜJazzらしくなるのか理論的に理解する)
という作業をすることで、より深く学ぶことできます。


■①-1:常套句を知る
これはJazzに限らずロックやポップス、ブルースでもやる作業だと思います。
例えば、よくあるチョーキングフレーズだったり、
それっぽくなるコード進行がありますよね。
そういうのがJazzにも多分にあるので、それを知ろうってことです。
4〜5曲コピーしたところで似たようなのが色々出てくると思うので、
まずは自身で気付くまでやってみるのがいいかな、と思います。
(以降で少し触れますが、Jazzらしさを生む要素については後日書きたいと思います)


■①-2:分析分解する
この作業は②の作業を進めていることが前提となります。
ですので、②が進んでいない方は読み飛ばして頂いても構いません。


で、ざっくり書くと以下の3つの作業をやります。
 ・コード進行を分析、把握する
 ・1つ1つ、要所の音使いを分析、把握する
 ・リズムを把握する


***ここからややこしい***


<コード進行を分析、把握する>
例えば「C△7→Bm7(♭5)→E7→Am7」のような進行があったときに、
キーの把握と、この進行を度数表記に置き換えて理解を深める作業をやります。
この場合は仮にキーがCメジャーとすると、「Ⅰ△7→Ⅶm7(♭5)→Ⅲ7→Ⅵm7」となります。
これで以下の2つのことが分かります。
 ・Ⅶm7に向かうツーファイブ進行になっている(Am7をⅠと仮置きしたときのⅡ→Ⅴ進行)
  ⇒Aマイナーキーに部分転調しているので、ツーファイブの箇所はAマイナースケールを使うと自然。
 ・Ⅲ7がⅥm7のセカンダリードミナントになっている(ドミナントモーション)
  ⇒Ⅲ7はC△7のダイアトニックに無いコード。「ソ#」に注意して弾く。(ソは弾かない)
この2つはJazzの常套句なので、手を変え品を変えあちこちで登場するはずです。


<1つ1つ、要所の音使いを分析、把握する>
1つのコード内で使う音がどんな音であるかを理解する作業となります。
例えば、C△7(Ⅰ△7)でド(5弦3F)やミ(4弦2F)を弾くと、C△7における1度(1st)や3度(3rd)の音を弾いたことになるので、
非常に高い安定感を得られます。
また、C△7でシ(3弦4F)を弾くと、C△7における長7度(Maj7th)の音なので、
早く安定したくなるような落ち着かない音になるはずです。
1つのコードの中で鳴っている音(メロディ等)にどんな意味があるのか、、
コピーしている曲で気になるフレーズがあったら分析してみると、理解が早まるかもしれません。


<リズムを把握する>
Jazzらしさを生む要素、の回に書きます。


***ややこしいのはここまで***


■おわりに
長くなりましたが、①の重要性と、②の必要性が少しでも伝われば幸いです。
ペンタしか知らなかった私でも、この作業のおかげでJazzに対する霧が少し晴れてきたと実感しています。
さて、次回は②の取り組み方について書きたいと思います。
(次回記事→id:korock:20120115)


最後にお勧めのJazzスタンダード本を1冊紹介。